第1巻 第6章
イザベル王妃と王子のフランスへの逃走

p8
イングランド王妃は仲間全員とブーローニュに到着すると、主に感謝を捧げ、聖母の教会に徒歩で赴いて、供物と礼拝を行いました。そして、町の有力者と大修道院長は王妃を喜んで迎え、宿舎を用意し、もてなしました。王妃たちは五日間、休息し疲れをとりました。六日目に王妃は仲間とともにブーローニュを離れ、イングランドから連れてきた馬とロバに乗っていきました。王妃は、一目会って歓待しようとする周辺地域の全騎士たちに導かれ、同行しました。なぜなら王妃は騎士たちの主君フランス王の姉だったからです。王妃はパリに到着するまで旅を続けました。そうして、多くの貴族が、王妃に会って、王妃と息子を歓迎しようとやってきました。王妃は宮廷にロベール・ダルトワ卿、ダンマルタン伯、クースィの領主、モンモランスィの領主、その他大勢に付き添われていきました。フランス王は長い間会っていなかった姉をみると、応接室に入ってくるところに近づいて、王妃の右手をとって口付けをして、話しかけました「ようこそ、姉上と立派な王子よ」。弟であるフランス王のそばにいることを除いて、心中穏やかでない王妃は二度、三度とフランス王の足元にひざまずこうとしましたが、王は許さず、右手を握ったままで、たいへんやさしく、王妃がどういう状況で、なにが起きたのかを尋ねました。王妃は冷静に答え、王にサー・ディスペンサーによってなされた侮辱と重罪について悲しげに話し、助力と慰めを請いました。シャルル王は姉の問題を聞くと、大いに同情し、やさしくいたわり、言いました。「姉上、わたしたちといっしょに暮らしましょう。悩んだり、落ち込むことはないのです。必要なものはここにあるのですから。そうして、あなたの状況を解決する方法を探しましょう」王妃はひざまずいて、深くお礼を言い、そのあと、仲間とともに王のいるパリに留まった。フランス王は王妃の必要なものを全部与えた。イングランド王妃はフランス王、王妃と大半の時間を過ごし、イングランドからの王妃の語る知らせはフランス王たちを悲しませたのでした。

第1巻 第6章 了



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"Froissart's Chronicles"
Edit and Translated by Jhon Jolliffe
HARVILL PRESS, LONDON
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