処刑後、王妃と全諸侯は大勢の群集をともなってロンドンへ向かい、ゆっくりと旅をしました。そして、王妃らが到着すると、ロンドンの大群衆は身分の高いものも低いものも会いにやってきて、王妃と王子、そして王妃に付き従うものすべてにたいへんな敬意をもって迎えました。そして、住民らは王妃とその従者たちにふさわしい、すばらしい贈り物を奉げたのでした。
催しと饗宴で15日がすぎると、サー・ジャン・ド・エノーの仲間たちは故郷に帰ることを望むようになりました。なぜなら自分たちの務めは果たされ、大いなる名誉を得たと考えたのです。かれらは王妃と貴族たちの別れをつげにやってきました。王妃らはかれらに少しでも長くいてもらい、いまだの捕囚の王の処遇をいっしょに考えてもらうよう頼みました。しかし、こうした懇願は何の効果も無く、かれらは故郷に帰ることを望みました。王妃と顧問団はこれをみて、サー・ジャンにせめて降誕祭のあとまで留まって、同じように仲間たちの多くを説得してくれるよう嘆願しました。この立派な騎士は自分の任務が果たされなければ立ち去ることを望まず、王妃の頼み通りに留まることを丁重に同意しました。そして、サー・ジャンはできるかぎり多くの仲間を引き止めました。しかし、それはほんのわずかで、残りは留まることを拒否し、サー・ジャンを大いに落胆させました。王妃と顧問団はサー・ジャンの仲間たちを留める術がないことを知っても、尊敬を意を表しました。そして、王妃はかれらの費用とサーヴィスに払うために大金と、たいへん高価な宝石を用意させ、位に応じて、全員に渡すよう命じました。そして、王妃はかれらに準備した金を馬に乗せ、何の問題も無く自分の価値評価を受け入れて、離れることを決めたのでした。
サー・ジャンはわずかな仲間と王妃のたっての望みによりイングランドに残りました。そして、イングランド人はサー・ジャンらに最大限の敬意を払いました。このころ多くの伯妃や、その他高貴な女性や王妃の世話をしているメイドさんがいて、そこに毎日のようにやってきたのでした。
第1巻 第13章 了