おひとよしのフィリップ 16c。ロヒール・ファン・デル・ヴァイデン。
ブルゴーニュ侯(14194-1467)
フランス貴族の筆頭を務めるブルゴーニュ家のボス。祖父の代から始まる婚姻政策により本領ブルゴーニュからフランドルまでの西欧随一の経済地域を押さえ、中世最高の文化を花開かせる。ファン・アイク、ロヒール・ファン・デル・ヴァイデンの絵画面だけを見ても、その魅力はいまだ衰えない。他分野も合わせた最盛期のブルゴーニュ家の文化たるやさぞ壮大なものであったことを予感させる。
後期百年戦争の真っ最中、1419年に王太子シャルルと和解のためにモントローに出かけた父ジャンを闇討ちにより惨殺されたフィリップは、復讐のためにイングランド王ヘンリー5世と手を結び、王太子を廃嫡して、ヘンリー5世を主君とした。アザンクールの戦いで地に落ちたフランス王家の威信はここにその命脈を断たれたかと思いきや、フィリップの本心は違いました。確かに復讐のために、イングランド王に加担はしましたが、真にフランス王と認めるのは王太子シャルルのみだったのです。ジャンヌ・ダルクうんぬんがフランスを救ったとして、百年戦争の複雑な説明をすることから逃げるずるい人が多いですが、フランスを救ったのは、このフィリップなのです。父を殺されたのに、それでも忠節を守ろうとする、本当はその豊かな資金をもとに王になりたいのに、ブルゴーニュ公で甘んじている。だからこそ人はかれを「おひとよし」と呼ぶのです。
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