スラヴ人(Slav)

現在の東ヨーロッパからロシアにかけての地域を中心に居住する、スラヴ諸語を話す人々。インド・ヨーロッパ語族の一派。ウクライナ東部からベラルーシを中心とした地域を原郷地とし、紀元後からは周辺地域へと徐々に広がり、6世紀にアヴァール族の侵入を契機に一気にその居住範囲を広げました。東へと向った人々は東スラヴ族(ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人)、西へと向った人々は西スラヴ族(ポーランド人、チェコ人、スロヴァキア人)、南へと向った人々は南スラヴ族(セルビア人、クロアチア人、スロヴェニア人、ブルガリア人、マケドニア人)というグループに分類されることになります。移動先で他の民族と混交したので、各地で独自の発展を遂げましたが、それでも移動距離が短く、居住地域がまとまっているため、それぞれの共通性はかなりあります。良く言われることでは、言語面での共通性が取り上げられ、場合によっては「なんとなく分かる」程度とも言われます。ゲルマン人などと比べると、ヨーロッパの周縁部にいたためその影響が伝わってくるのが遅く、国家形成を果たしたのも紀元後一千年紀の後半から終わりにかけての時代にでした。宗教的にスラヴ人はスラヴ神話に登場する独自の神々を含む古い信仰を長く保ち続けましたが、国家が建設されるとともに政策としてキリスト教が導入されました。ビザンツ帝国からの影響を受けた地域ではギリシア正教が、フランク王国やローマからの影響を受けた地域ではローマ・カトリックが広まりました。ヨーロッパでプロテスタントが広まると、ドイツに近いチェコやポーランドなどで一時期プロテスタントが増えることになります。スラヴ人といっても文化的に多様でひとくくりにはできませんが、19世紀にはパン・スラヴ主義などの動きもみられ、当時の大国ロシアの影響を強く受けることになります。

(参考文献・『角川 世界史辞典』P497、)
(05/09/06作成、)