一般的な宦官のイメージは、政治の裏側に生息していることから「陰湿、貪欲、無知」といったものや、その外見から「いびつ、中性、臭い?」といったように、明らかなマイナスのイメージを持たれているようです。
宦官というものがすでに歴史上の存在となっている以上、そのイメージというものは史書などの書物から作り上げるしかなく、その史書は士人である側(官僚)から書かれる事がほとんどです。特に西漢以降、儒教が国教となったことや、宦官が官僚と敵対する事が多くなった事により、史書の中の宦官像はどんどん歪められたものとなっていきました。また、演義などでは小物の敵役として描かれている事が多く、その事が宦官のイメージダウンにかなりの影響を与えている事は間違いありません。三国志の中に出てくる十常侍や、水滸伝に登場する童貫など、かなり悪名高いですから。(出番も少ないし(笑))
ところが、宦官の中にも紙の製造法にめざましい改良を加えた東漢代の蔡倫や、大航海で知られる明代の鄭和など士人顔負けの活躍をした宦官も少なくはないのです。彼らの様な宦官を主人公にした小説でもあれば、少しはイメージも改善されると思われますが、なかなか出なかったのです。
近年、「鄭和(ていわ)の南海大遠征」(宮崎正勝著 中公新書 680円+税)という本が発刊されました。小説ではありませんが図解も豊富で大変読みやすく、興味のある方は一度お読みくださいませ。鄭和という人物が宦官であるという枠を越えて、如何に大きな人物であったかということがよくわかると思います。
