謚号解説(サ行)
                   
                   
         
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《字統》思推するところをいう形声文字。
《諸橋大漢和》1.おもう。かんがえる。2.ねがう。のぞむ。3.したう。こがれる。4.あわれむ。いつくしむ。5.悲しむ。憂える。

(逸周書謚法解)
【道徳純一曰思】
[意味] 徳を純一(混じり気が無くて専らな事)に考え、自己を達成すること。
[備考] 
【不責兆民曰思】
[意味] 自らを省みて民を安んじること。
[備考] 《正義》《前篇》には「不責」を「大省」とあるが意味は同じ。《唐會要》には「大省」とする。
    この條は撫民を意味する。兆民とは多くの民の事。
【外内思索曰思】
[意味] 内外に思索し、善を求めること。
[備考] 外は四方、内は朝廷に於いて善を求めること。索とは求むること。(外は他人、内は自己をいうとする説もある)
【追悔前過曰思】
[意味] 思して改めること。
[備考] これは悔過(後悔)の思であり、《論語》の中の自訟の義である。

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《字統》先の鋭くとがった木で刺すことを表す形声文字。
《諸橋大漢和》1.さす。つきさす。2.かく。3.そしる。4.とる。5.うかがう。6.責める。7.諫める。8.たつ。つくす。他

(逸周書謚法解)
【不思忘愛曰刺】
[意味] 自分を愛する事をさけること。
[備考] 唐の中書侍郎の高據が卒した時、「據は醜雑(身分の低い者の意か?)と交遊した。《諡法》に『不思忘愛曰刺』とある。諡を刺とする事を請う。」と上奏された。これより考えると、自分を忘れるという事は、自分の地位、身分を考えること。保身の事と考えられる。つまりは自分の身分をわきまえないということか?。
    漢の燕王劉旦の諡が「刺」であるが、諸橋大漢和によると「漢武帝の第4子。博く経書雑説に渉り、星歴・数術・倡優、射猟の事を好み、游士を招致す。昭帝立つや、廃立の事に坐して自殺した。」とある。游士を招いたのが刺諡を付けられる原因となったのであろう。

【愎s遂過曰刺】
[意味] 諫言を聞かずにこれに反し、改めないこと。
[備考] 《唐會要》80にこの條を取汲ニするが誤り。
    愎とは諫言を拒むこと。sとは諫言に反することをいう。遂過とはその過ちを恣にして改めないことをいう。

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《字統》二斤と貝に従う会意文字。貝はもと鼎の形。鼎に二斤をもって銘刻を施すことをいう。
《諸橋大漢和》1.下地。2.たち。さが。3.み。からだ。4.もと。根本。5.まこと。実。6.すなお。7.少なくする。8.おもい。9.よい。10.正しい。他

(逸周書謚法解)
【名實不爽曰質】
[意味] 名と実の違わないこと。
[備考] 爽とは失うこと。名がその実を失わないこと。質とは正しいの意。

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《字統》酉の声符に従う形声文字。「説文」に「惡むべきなり」とするが、人鬼はもと悪むべきものではない。もとは喪葬の儀礼に関する字か。
《諸橋大漢和》1.みにくい。きらうべし。2.にくむ。きらう。3.わるい。4.わるもの。みにくいもの。5.あやしい。6.恥じる。7.辱める。8.恥。9.いかる。10.たぐい。他。

(逸周書謚法解)
【怙威肆行曰醜】
[意味] ほしいままに威を行うこと。
[備考] 怙は恃むの意。その威勢を恃み、欲しいままに妄を行うことをいう。

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《字統》聿と規の形に従う会意文字。器物に文様を付するための筆と規の形。その様な文様を加えることは、器物を聖化する所以であり、そこから粛敬・粛慎・厳粛などの意が生まれた。
《諸橋大漢和》1.つつしむ。うやまう。2.うやうやしい。3.おごそか。4.いましめる。5.ととのう。ととのえる。6.きびしい。7.しずか。8.きよい。9.さむい。10.ちぢむ。他

(逸周書謚法解)
【剛徳克就曰肅】
[意味] その敬なるものを成し遂げること。
[備考] 《慧琳恩義》には「強徳剋義曰粛」とある。粛は敬うの意。
《御覧》に唐の厳郢が呂の諡に対する上奏が載っているが、それによると「諡法には勧善懲悪があり、多くの字は使わない。粛は威徳克就の名である。これはの政に従うものである。威は邪に関わりないし、徳は衆を救う。故に粛の易名を以て諡とする。忠はその中にある。」としている。

【執心決断曰粛】
[意味] 果敢なること。
[備考] 《金史・礼志》に「決断」を「断決」とする。

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《字統》声符の川に従う形声文字。水流に臨んで行われる儀礼の意味。もと自然の勢いに従うことを順といった。
《諸橋大漢和》1.おさめる。筋道に従っておさめる。2.したがう。3.うける。つぐ。4.すなお。おとなしい。5.やわらぐ。6.安んずる。よろこぶ。7.しりぞく。のがれる。8.かわいがる。9.おしえる。10.正しい。善い。他

(逸周書謚法解)
【慈和遍服曰順】
[意味] 人をその慈和に服させること。
[備考] 順は九徳(度、莫、明、類、長、君、順、比)の一つ。《左伝・昭二十八年》に「上が下を愛することを慈という」とある。和は中和(中庸)の意。

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《字統》广(厨房)と廿(鍋などの器)に従う会意文字。烹炊の初文。
《諸橋大漢和》1.多い。ゆたか。2.肥える。3.もろもろ。いろいろ。4.位のない人。5.めかけばら。6.分家。支族。7.賤しい。8.こひねがう。9.ちかい。他

(逸周書謚法解)
【心能制義曰庶】
[意味] 心を推し量る様に物事をうまく推し量ること。
[備考] 庶は《正義》《左伝》には「度」とする。古くは「庶」と訛ったようだ。

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《字統》召の声符に従う形声文字。古くは邵に作る。
《諸橋大漢和》1.あきらか。かがやく。光る。2.あきらかに。3.あきらかにする。4.廟の順位の名。

(逸周書謚法解)
【昭徳有労曰昭】
[意味] 功績を譲る徳を持つこと。
[備考] 《前篇》に「昭徳」を「明徳」とする。《三国志・魏甄后伝》の注に三公の奏上を載せており、それには「徳明有功曰昭」とする。労は功の義と同じ。
賢者というものは、その昭(徳)を以て人に徳を持たせる。これにより功ありといえる。

(逸周書謚法解)
【聖文周達曰昭】
[意味] 学問の明らかなること。
[備考] 聖文とは相談すること。《独断》には「聖聞宣遠曰昭」とする。《魏三公奏》、《唐會要》79には「聖聞」とする。《続博物志》には「聲聞宣遠曰昭」とする。
この條は圉、宣の二諡の前に置かれていたと思われる。脱簡したのであろう。

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《字統》形声文字。声符は易を覆う形。易は玉光を示す字で、それを覆うことは死喪の意を持つ。
《諸橋大漢和》1.わかじに。

(逸周書謚法解)
【短折不成曰殤】
[意味] 短命にして業を成す事の出来ないこと。
[備考] 《儀礼・喪服伝》に「年16才から19才までに死するを長殤、12才から15才までに死するを中殤、8才から11までに死するを下殤、7才以下で死ぬのを無服の殤と言う。生後3ヶ月未満で死するは殤とは言わない。」とある。《釈名・釈喪制》に「二十未満で死ぬのを殤と言う。殤は傷。」とある。
【未家短折曰殤】
[意味] 未婚のまま死んでしまうこと。
[備考] 「未家」とは「未室家」の事。室とは夫婦の居る場所のこと。家とは一門の内を指す。転じて夫婦、家庭をいう。

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《字統》声符を朕(ヨウ)とする形声文字。字が勝敗の意を持つのは古く農事の占卜のことより起こったものであろう。
《諸橋大漢和》1.たへる。よくする。あたる。2.あげる。3.あげて。4.つけこむ。5.しのぐ。6.かなう。7.かつ。かち。8.まさる。9.すぐれたもの。10.おほい。あまる。他。

(逸周書謚法解)
【容儀恭美曰勝】
[意味] 容姿がうやうやしく美しいこと。
[備考] 《正義》《前編》には、この條を昭謚とし、「昭徳有労曰昭」の下に置く。

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《字統》辛とと口に従う会意文字。辛は把手のある大きな針器。入墨に用いるもので、刑罰権を示す。は台座の形。口は祝襦を治める器。これに祈って神意を問う意であるから、はかる事を原義とする。
《諸橋大漢和》1.はかる。2.数え高。3.きざみ。4.あきはふ。あきない。あきんど。5.あきらか。

(逸周書謚法解)
【照功寧民曰商】
[意味] 功があることが明らかなこと。
[備考] 蔵の珠玉は食料にかなわず、厚い蔵の箱は農桑の課(税金)にはかなわない。これを商という。ここでいう功とは民を富ますことである。

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《字統》声符は召。その字形は撃ノ従うもので、撃ヘ祖霊を迎える意。祖霊を継承する意を持つ。
《諸橋大漢和》1.つぐ。2.うける。3.ひきあわせる。とりもつ。4.かたく縫い合わせた三筋の縄。

(逸周書謚法解)
【疎遠継□曰紹】
[意味] 跡継の順位が後ろであるのに、先に位を継ぐこと。
[備考] □には諸本に「位」を補う。《慧林音義》に《諡法》に「遠継先位」とする。

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《字統》衣と二口と四工に従う会意文字。遺体に邪霊が憑るのを防ぐ祓禳の儀礼を示すもので、禳の初分。
《諸橋大漢和》1.のぼる。2.あげる。あおぐ。3.たかい。4.はらう。掃除する。5.たすける。7.よる。8.なす。9.変える。めぐる。うつる。他。

(逸周書謚法解)
【僻地有徳曰襄】
[意味] 未開の土地を徳を以て服従させること。
[備考] 《左伝疏》、《独断》、《唐會要》80、《続博物志》《孟子・梁恵王伝疏》、《金史・礼志》に「地」を「土」とする。
 有徳とは民の益の為に国民を服従させること。僻とは開き広げること。
【甲冑有労曰襄】
[意味] 乱を治め治を成すに功あること。
[備考]《左伝疏》にこの條を「因事有功」とする。「甲冑」は転記する際に誤ったのであろう。

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《字統》声符は申の形声文字。申は電光が斜めに屈折して走る形で、神威の現れるところ。
《諸橋大漢和》1.かみ。天の神。天上の主宰。万物を生み立たせる物。2.ふしぎなもの。3.たましい。4.こころ。5.徳のきわめて高いもの。6.知識のあまねくひろい者。7.変える。8.かさなる。9.つつしむ。10.おさめる。他。

(逸周書謚法解)
【一人無名曰神】
[意味] 言葉によって形容できない徳を得ること。
[備考] 《史記正義》では「民無能名曰神」と改められている。《通考》に「一人」を「壱民」とする。「一人」とは最上の称。「無名」とはその名から何も得られないことを意味する。《[曷鳥]冠子・道端》に「命をうけざる者がなく、名を変えることが出来ない者を神という」とある。北魏の神元皇帝がある。

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《字統》旧字は眞に作り、匕と県とに従う会意文字。匕は化の初文で死者を表し、県は首の倒形。併せて顛死の人をいう。
《諸橋大漢和》1.まこと。いつわりでない。かりものでない。2.変わらない。3.ありのまま。自然。4.みち。自然の道。5.うまれつき。6.もと。7.魂。8.からだ。9.居姿。他。

(逸周書謚法解)
【肇敏行成曰真】
[意味] 素早く始め、行いを成し遂げること。深く考えないこと。
[備考] 《爾雅》に「肇は敏である」とある。《論語》に「行うに於いて敏であるという。故に肇敏行成という」とある。肇は始と訓する。

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《字統》声符は隹。隹に進・誰・應など、鳥占を示す文字がある。推に推測、推察の意があるのも、その俗と関係があろう。
《諸橋大漢和》1.おす。おしひらく。すすめる。2.さかんなさま。3.移り変わる。4.せめる。他。

(逸周書謚法解)
【息政外交曰推】
[意味] 自らを明らかにせずに、外に恃むこと。
[備考] 「推」は「攜(携)」とする説あり。《正義》にこの條は無い。《独断》《通考》には「息」を「怠」とする。