2006年6月7日訪問。
モスクワ市内に残る修道院の中ではおそらく最も有名なものの1つであり、多くのガイドブックで観光地として紹介されている。創建はヴァシーリー3世時代の1524年、モスクワ大公国のスモレンスク併合を記念して建てられた。所在地はクレムリンから見て南西の方角にあたり、スモレンスク・リトアニア方面へ通じる街道とモスクワ川の3つの渡し場を押さえる、戦略的に極めて重要な位置を占めていた。また、ダニーロフやドンスコイなどの修道院と並び、モスクワ南部を守る防衛ラインをも形成している。事実、ノヴォデーヴィチー修道院を囲む巨大な壁と塔(現存のものは17世紀半ばに建設)は、当時の要塞建築の実相を物語る貴重な建築遺産となっている。
さらにノヴォデーヴィチー修道院はモスクワ大公/ツァーリの一族と密接な関係をもち、皇族や名門貴族の子女の出家先として知られていた。例えばフョードル3世の皇后イリーナ(ボリス・ゴドゥノフの妹)、皇女ソフィヤ・アレクセーエヴナ(ピョートル大帝の姉)など、数多くの高貴な女性たちがここで生活し、修道院は様々な歴史的出来事の舞台となった。プーシキン原作のオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」の物語が始まるのも、まさにこの修道院なのである。
最寄り駅である地下鉄スポルチーヴナヤから修道院へ向かう途中の辻公園にて。2人のたくましい若者(そのうち1人は明らかに黒人)が、様々な言語で「平和」と書かれた球体(地球儀?)を高々と掲げている。いかにもソ連製という趣の像だ。
もうちょっと先に進み、修道院のすぐ近くまで来ると、今度は十月革命に捧げた石碑が。ただし表面の一部が傷つけられてしまっており、これは現代ロシアにおける複雑な革命観を物語るものかも知れない。
石碑の辺りからはすでにノヴォデーヴィチー修道院が見えます。
修道院の西側、一段低くなった部分には細長い池が広がっている。かつては水堀の役割りを果たしていたものかもしれない。池の畔はきれいな公園として整備されており、景色もよいため散策コースとしてお勧めできる。
ソ連時代の最末期、米ソの子供たちの友好を深めるということでアメリカから寄贈されたアヒルの親子の像。当時の大統領夫人バーバラ・ブッシュが持って来たのだそうだ。お母さんアヒルの頭がテカテカなのは、みんながなでまわすせいなのだと思う。
(06.06.22更新)