長門本
(ながとぼん…平家鎮魂の地に眠る本)


安徳天皇の菩提寺である下関市阿弥陀寺(現・赤間宮)に伝わる本。書写年代は不明ですが、かなりさかのぼると考えられています。全二〇巻。但し、原本は第二次世界大戦で罹災し、全焼は逃れたものの、かつての姿は失われてしまいました。幸運にも長門本はここ以外に、内閣文庫や伊藤家などに二〇種ほど現存していてそれらを使って補うことが出来ます。

この点は同じ読み本である延慶本と比べて違う点で、江戸時代の受容記録を見ておりますと、読み本系の代表としては長門本が読まれていることが判ります。『参考源平盛衰記』が参照したのも長門本でして、今にまで現存するものがいくつかあるのも頷けます。

内容は延慶本に酷似しておりまして、研究者の中には延慶本と長門本のなかで記事内容が同様である部分を「原延慶本」と見る人もいます。長門本は原延慶本から、あるとき独立したものと見ているのです。


巻五にある「厳島之次第」において、他本になく『厳島御本地』と同一部分があり、厳島とかかわりが深い本であると言われております。またその表記には神仏習合厳島にある水精寺を拠点とした回国の僧が背後にいたと唱える研究者もいます。

●入手の仕方

国書刊行会の緑色のが一番スタンダード。日本書房では常備されているみたい。でもここはそろえはいいけど少々高めなので、他の古本屋を捜せばもう少し安く手に入るかもしれません。ちなみに泣く泣くここで買った価格は八千円です。
また、最近、松尾葦江氏による詳細な本文が発行されました。


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