真名で書かれた一本です。巻1・巻5・巻8と、断片的に残っています。奥書からは建武四年(1337)二月八日に書かれたとあり、南北朝期にまで遡る、平家諸本の中ではかなり古いものになります。
冒頭は同じですが、いつのまにやら関東武士団の功績譚に替っていくというかわった本で、将門の乱の延長上に治承4年の頼朝挙兵を捉えるという構造を有しています。千葉氏の活躍が多く、千葉氏が信仰していた妙見信仰にかんする記述もあり、更に本書の中で説かれる系図が千葉氏のなかの一部の特殊な系図と合致することからも、この一本の編纂に千葉氏の嫡流付近の人間が関わっていると思われております。千葉氏の活躍が記される巻5というものが残っていることからも考えてみて、この書はただに物語ではすまない「意志」が含まれているように思われます。
平家物語は、娯楽以上に「先祖の功績」というものを主張し、権威付けに利用しうる、政治的な意味合いを持った書なのです。
●入手の仕方
未刊国文資料という叢書のなかで翻刻されています。ただし、この叢書は非売品となっていますので、入手は困難でしょう。
追加情報…最近講談社学術文庫から翻刻されるそうです。要チェック!!