幸若舞を知るに有用な文献

【本文を知りたい】
●荒木繁・池田廣司・山本吉左右編注『幸若舞』1〜3…平凡社東洋 文庫
東洋文庫なので、大きな書店か、図書館にあるでしょう。手に入れやすい本です。わかり難いところは現代語訳が付してあるので読みやすいのと、作品本体の数 倍にわたる膨大な注が特徴です。底本は台本の伝幸若小八郎本(慶応大学蔵)です。但し、東洋文庫は一冊約三千円もするので三冊となるとかなりの出費となり ます。古本でもよく出ているのでそちらで買うのもいいと思います。

●麻原美子・北原保雄校注『舞の本』…岩波書店新古典文学大系
定本はタイトルにもあるように寛永年間版本を使用。。三十六番を収録。岩波の大系本なので、どこの図書館にもあります。全訳はないにしろ、細かく脚注がつ いているので、東洋文庫よりも見やすいかもしれません。末尾に解説もついていて、一番お手ごろでしょう。

●服部幸造他三名編・『寛永版・舞の本』…三弥井書店
寛永年間に刊行された読み本としての『舞の本』を底本とした本です。三十七番を収録しており、リーズナブルですが、店頭で並んでいることはまずありませ ん。また、純粋に本文だけですので、古文が苦手な方は辛いかもしれません。

●吾郷寅之進・福田晃・真鍋昌弘編『幸若舞曲研究』1〜10巻…三 弥井書店昭和54年〜
幸若舞に関する論文と並んで、曲の注釈もあるという雑誌のような本。いくつかの曲について、詳しい注釈から異本表記まで、細部にわたる研究にも使えるよう なつくりをしている。しかし、大学の図書館ぐらいでしかお目にかからないと思う。
 
【詳しく調べてみたい】
●笹野堅編『幸若舞曲集』本文編・昭和18年・第一書房
昭和初期に幸若舞の本格的研究の先鞭をつけた笹野氏の本ですが、大学の図書館ぐらいでしかないような気が。

●麻原美子著『幸若舞曲考』昭和55年・新典社
白拍子から曲舞への変遷から、幸若舞の発展まで、くわしく、よく概観できますが、やはり大学の図書館ぐらいにしか入っていないだろう。ちなみに古本屋では 福沢さんが2、3枚飛ぶようなお値段でした。

●室木弥太郎『増訂語り物(舞・説経・浄瑠璃)の研究』昭和45 年・風間書房
中世芸能研究の大家である室木氏の代表的著書。説教節や浄瑠璃と併せている為、前の二冊に比べては幸若自体に関する記述は量的に少ない。しかし、江戸時代 にかけての幸若舞の変遷をはじめ、必読の書。でも大学図書館ぐらいでしかお目にかからないと思う。

●吾郷寅之進・福田晃・真鍋昌弘編『幸若舞曲研究』1〜10巻…三 弥井書店昭和54年〜
前述の書物。論文集のような形式で、比較的新しい研究が載っている。とりあえずチェックしないと。

●雑誌『芸能史研究』芸能史研究会発行
京都に本部があり、年に1、2回研究発表会を行う研究会の雑誌。幸若をはじめ、中世芸能を研究する人はこれをチェックしているはずですよね。

●雑誌『軍記と語り物』軍記物談話会発行
東京を中心にした、幸若舞や『平家物語』をはじめとした軍記物の研究の核となる団体が出している雑誌。ここの例会で発表し、論を寄せるのが登竜門、のよう な。『芸能史研究』もこれも、やっぱり大学の図書館ぐらいにしか見当たらないと思います。

【周辺事情が知りたい】
●京都部落史研究所編 『中世の民衆と芸能』 阿吽(あうん)社 1986年
中世芸能民のことを知るに、一番手っ取り早く、判りやすい本。それぞれうまくカテゴライズされていて、とてもよい。

●盛田嘉徳『中世賤民と雑芸能の研究』雄山閣 昭和61年
「千秋万歳」を知るときに、必ず読まなければいけない本。

●盛田嘉徳『河原絵巻』法政大学出版局 1978年
江戸時代前期の、芸能の民をはじめ、身分統制におかれた人々の実態を知るのによい。

●市古貞次『中世文学年表 小説・軍記・幸若舞』東京大学出版会  1998年
便利だけど、これに頼っているうちは発展性はないでしょう。「日記は最初からきちんと読みましょう。ツマミ食いはあかん。」師の痛い言葉です。

●関山和夫『説教の歴史ー仏教と話芸』岩波新書 1978年
幸若舞とは違いますが、同じ語りの芸能「説経(節)」について、声の芸能の歴史を概観できる。

●福島真人『身体の構築学ー社会学的学習過程としての身体技法』ひ つじ書房 1995年
芸能の伝承について、現在の視点も含めて、きわめて有用な示唆に富む書。身体論を語るにはおさえておきたい。

●五味文彦編『芸能の中世』吉川弘文館 2000年
歴史の人々(中世芸能誌研究会≒御茶ノ水大一個大隊)による芸能分野への考察。必読。 ああ、やられたなあという気分。

●石田尚豊編『日本の美術5 職人尽絵』至文堂 昭和52年
職人歌合については一杯論考があるけれど、図版が多いので、とりあえずあげてみました。


……あと、芸能分野は、文学・民俗系以外に歴史畑や宗教系の人も乗り入れて来る、ボーダーが低い分野なので、それぞれの分野の雑誌にも気を配ったほうがよ いかも。ああ、コピーカードが消えて行く…。


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