幸若舞
忘れ去られつつある芸能
「人間五十年、化天の内を比ぶれば、夢幻の如くなり…」
この文句をお聞きになった方は多いはずでしょう。織田信長が桶狭間の戦いを思い出す事でしょう。では、この文句は何なのでしょう。
この文句、有名な割には元は何か御存知でない方が多いはず。『敦盛』の一節、ということはわかっても、それは何か?。中には猿楽(能)であると思ってい
る方もいらっしゃるのでは?
「幸若舞」
この言葉をお聞きになったことがおありでしょうか。この文句の出所たる芸能の名前です。幸若舞…そのまた昔は曲舞(くせまい)と呼ばれた芸能で、室町時
代に一世を風靡しました。材料が猿楽や平曲と通う所がありながら、現在まで残った能楽とは対照的に、亡びつつある芸能です。現在、福岡県南部の大江という
集落で毎年一月二〇日に行うもの以外でまともに見る事が出来ません。しかし、室町時代、後花園天皇の父であった伏見宮貞成(さだふさ)親王は、その日記
『看聞御記』永享四年(1432)六月十五日条に、このような事を記しています。
抑於稲荷御旅所、此間くせ舞児有勧進。於即成院去々年稚児云々。猶上手ニ成。万人群集云々。前宰相、長資朝臣、重賢、梵祐、承泉等今日見物、言語道断殊勝
之由申。
冒頭の信長をはじめ多くの人に人気があったこの「幸若舞」という芸能、一体どのような芸能だったのでしょうか。僅かではありますが、先人の研究をたより
に、探ってみたいと思います。
○幸若舞のルーツ
○幸若舞の担い手
○権力者と幸若舞
○江戸時代の幸若舞
○現在残る幸若舞の物語
○諸本について
○有用な文献
戻る