御火焼事(十一月)
問
この月に御火焼といって神火をたいて祭るのはどうしてでございましょうか。
答
このことたしかに起こりはわかりませんが、ただ、神楽を諸々の神様の前で冬に必ず演ずるということでございます。是を初めと申すのがよろしいでしょう。大方、神楽というものは、天照大神が天の岩戸にお篭りになった時、諸々の神様が祈りなされる間、天鈿目命(アメノウズメノミコト)がマサキを髪飾りに、組み紐をたすきににしてうたい舞い、庭火を焚いたところ天照大神が天の岩戸からお出ましになったことより、諸々の神様は是を好まれる。今も内侍所で行われる神事のことでございます。官人が庭火を焼くのです。公卿や近衛の召し使いが集まって庭火といって歌を歌うのもこんなことが関係しているのではないかと思っているのですが、どうか。
記紀神話に有名な天岩戸説話であります。神楽というのはカミクラ、つまり神がいらっしゃるところを指すとのことです。マサキの髪飾りは笹と同じく、神が憑依する依りましの持つものとして理解され、この歌い舞うものは巫女としての性格を十分に持っている存在だと考えられます。また、個人的には火を焚いて神楽を行うスタイルは、室町の儀式化された延年を彷彿させます。
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