九月九日に菊の酒を呑事(九月)
問
菊の酒呑は何より起こったのか
答
まず、今日を重陽というのは月と日と九曜の数がかなうから重陽というのである。
また、菊を用いるということは『世風記』という書に見える。
費長房という仙人が汝南の桓景という人に、
「9月9日におまえの家には災いが起こるだろう。グミ(またはカワハジカミ)の袋を縫ってそれをひじにかけて、山に登って菊酒を呑めば災いが消えるであろう」
と言ったので、桓景はその日になって教えられたとおりにすると、身に災いなく、家の鶏、犬、羊がことごとく死んでいたのである。
この様な効能によってであろうか、昔は内裏で重陽の宴といってグミ(またはカワハジカミ)の袋を帳にかけて群臣に菊酒を賜ったそうである。
また後光明峯寺の御抄には、9月9日は寒い季節と温かい季節の境のときで、身肉にわかれるのである。この時酒を呑めば病にかからない。そして、この日から酒を燗するのである。
寒温の二気が大きく変化する日であるので必ず病が起こるのである。だから針灸もこの日はみな肉別をして行うのである。
また、菊を用いるということは、魏の文帝が御誕生のときに紫の雲が殿上にかかって尋常ではなかった。そうして七歳にして即位されたのである。そのころは天下の生き物の寿命が十五年を超えることはなかった。帝が15歳にだんだん近づいていった時、お嘆きになって歩くこともされなかった。その時穀粗という仙人が菊園から菊の花を折って9月9日に持って来て帝に献上したところ、帝はこれを召し上がって寿命は70歳まで保たれた、というようなことが載せられている。
また、『世風記』には、漢の武帝という御門の菊酒を飲んで長寿を得たということがあった。と書かれてある
また、菊にわたきをすることはいつの頃より始まったかは見当たらない。ただ、菊を賞玩するあまりに霜を防ごうとする気持ちからそうやっているのだと思っている。
1月1日(元旦)3月3日(桃の節句)5月5日(端午の節句)7月7日(七夕)、そしてこの9月9日の重陽と、奇数が重なる日は何か特別な意味を持っていたと考えられますね。奇数という字自体、「奇(くす)しき数」つまり神秘的な、不思議な数という意味を持っています。さて、9月は旧暦では晩秋にあたります。季節の変わり目は体調を崩しがち。昔の人も一緒だったようですね。皆さんも風邪など召されぬよう、上のように熱燗で一杯やるってのもいいものかもしれませんね。
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