はじめに
はじめのことば
歴史モノのテレビ番組において、いにしえの人が書いたものが映る事がありますね。朗読やテロップによって私達は知る事が出来ますけれど、これらを読んでみたいと思った事はございませんか。
ここでは、昔の人が書いた、所謂「くずし字」を読む勉強をしてみます。
しかし、考えてみると不思議ですね。同じ日本人が書いた言葉なのに読む事が出来ないなんて。
っていうと、「当たり前ではないか」とお叱りを受けそうですが、それはどうしてでしょう。
「言葉が違うではないか?」
もちろんです。特に古典の時間で苦しんだ人は(私もそうです)思うでしょう。でも、そんなに心配する事はありません。ここで取り上げるのは文字が中心で、しかも、江戸のものです。皆さんが古典の時間に習う中古(平安時代)の言葉に比べて、そんなに難しくありません。古典の知識はあったほうが良いに越してますが、なくても良いと思います。
「字がくずしてあるんだもん」
はい。どちらかと言うと、こっちが問題になります。というか、こちらが主な勉強になります。がんばってくださいね。
「書く道具が今と違う」
筆と鉛筆との違いはかなり大きいです。今だって、私達は鉛筆・シャープペン・ボールペン・マジックなどをその特質に応じで使い分けていますね。ウエットな筆にドライな鉛筆。それ以上に両者の違いは線のメリハリです。シャープペンやボールペンを代表とした現在の筆記用具はなべて線が均一でありますが、対して筆は力に応じて太さが変化します。このうねうねに戸惑うかもしれませんが、まあ、慣れたらええかんじです。
ということで、そんなに難しいもんでもありませんので、気軽にチャレンジしてみてくださいね。
この文字はなあに?
みなさん、ひらがなで五十音の最初の文字を書いてくださ〜い。
「あ」
あたりまえですね。でも、あたりまえではないんです。いにしえの時代。いや、つい百年前でも、この質問をすると、「あ」だけじゃない「ひらがな」が返ってきたりします。
それはどんな言葉であるかというと…ってまえに、腹ごしらえに、お蕎麦でも食べに行きましょう。
おっと、暖簾を見ると、こんな字が書いてあるではないですか。

「「き」なんたら「む」にてんてん??」
良く見るけれど、あれはなんて読むのだろう。よういえば、屋号も変な字だったぞ。

「やぬ゛?」
不可思議なるうちに蕎麦が着ました。食べましょう。と、割り箸の袋を見ると…

どうやら「おてもと」と書いてあるらしいけれど、一体どう言う字?
時々見られるこのような字は漢字ではありません。それを説明するために、少しひらがなのお話をしましょう。
平仮名は四十七字ではなかった?
日本には字がありませんでした。音があるだけでした。それを文明の先進国である中国の漢字を使ってあらわそうとしました。万葉仮名と呼ばれるものがそうです。それらをずっと崩すとひらがなになるということは国語の時間に習った覚えがあると思います。「あ」は「安」をくずしたのだし、「い」は「以」、「う」は「宇」…
でも、どうして、「a」の音をあらわすのに「安」という漢字”だけ”を使ったのでしょうか。別に「a」の音を持つ漢字なら別に「阿」でも「悪」でもいいでしょう。
よかったのです。というか、そうだったのです。「阿」や「悪」をくずした「あ」があったのです。それが、これ。

これも立派なひらがなの一つで、明治に入ってひらがなが一音一字に決まるまで、いや、決まってからも暫くは使われていました(例…明治の頃の教科書)。さっきの変な字はこれだったのです。(因みに最初から「きそば」「やぶ」「御てもと」です)このようなひらがなを「変体仮名」と呼びます。決して「変態仮名」ではありません。明治以降決定した正体なる物にたいしてという意味です。でも、その前の人にとっては別に「変体」でも「正体」でもなかったのです。
この変体仮名、一つの音にだいたい二種類ぐらいあります。崩す元の漢字を「字母」と呼ぶのですが、中には崩す段階で二つの仮名が出来たものもあります。これを覚える事からはじめるとしましょう。これが読めるようになると、随分と「みみず文字」が読む事が出きるようになりますよ。
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