変体仮名を覚えよう
変体仮名の種類
ということで、これから、変体仮名の主なものについて、解説を加えて行こうと思います。一気に覚えようとせずに、少し覚えたら、練習の版本を読んでみる、つまずいたら、ここに戻るってかたちでやってみると良いと思います。なお、基本的に、古いものほど、沢山の変体仮名がありますので、練習に挙げました江戸のものぐらいからはじめるのが良いでしょう。
なお、出てくる多寡はあくまでワタクシ個人的な体験を元にしたもので、時代や筆者によって差が出ます。
あ
[阿]
阿弥陀さまの「阿」をくずしたものが代表選手です。
い
[以]
[伊]
殆どが現行の「い」と同じですが、最初に挙げたくずす途中のものや、伊藤ハムの「伊」を崩したものも、古いものによく見られます。
う
この字は現行の「宇」を崩した「う」が殆どです。
え
[江]
江川の「江」を崩したものが良く使われます。今でも花輪などに「○○さん江」って書いてますよね。
お
[於]
字母は同じ「於」なのですが、くずす段階の浅いものも良く使われます。
か
[可]
[賀]
[歌(偏の部分)]
ここは圧倒的に最初に挙げた可能の「可」をくずした変体仮名が使われます。寧ろ「か」は少数です。小さくくるって回っている、「ろ」のような字が出てきたら間違い無くこれです。あと、次に挙げたような「賀」や「歌」の偏の部分で構成された漢字を崩したものもたまに見られます。
き
[幾]
[起]
[支]
幾何学の「幾」から生まれた現在の「き」が良く使われますが、古いものでは、その崩れる途中のものが使われることがあります。そのほかでは「起」を崩したものが良く使われます。次点としては「支」を崩したものが挙げられますが「支」をくずしたものは「よ」や「爾」をくずしたものと間違えやすいです。
く
[久]
[具]
「久」を崩した現行のものが殆どですが、たまに、くずしかけのものや、「具」をくずしたものも見かけます。
け
[介]
[遣]
[希]
[氣]
「計」をくずした現行の「け」の他に、介護の「介」や遣唐使の「遣」をくずしたものが多いです。結構小さく書かれる字です。そのほか、希望の「希」や「氣」をくずしたものも見る事が出来ます。
こ
[古]
「古」をくずしたものを見る事がおおいです。
さ
[佐]
[沙]
佐藤くんの「佐」や「沙」をくずしたものも良く見かけます
し
[志]
[志(下が平らなもの)]
立川志の介とか、いまでも使われる「志」をくずしたものも見る事が出来ます。「心」の部分が平らになってしまったものも良く見ます。
す
[春]
[須]
現行のもの以外に「春」をくずしたものや須藤真澄の「須」をくずしたものがあります。「す」の下に「て」のような尻尾があれば「春」をくずしたもの、「い」にしては大きいなと思ったら「須」であることがおおいです。
せ
[世]
[勢]
現行のものをくずす途中の「を」に良く似たものがあります。要注意です。次点としては伊勢の「勢」をくずしたものがあります。
そ
[曽]
[楚]
現行のものが多いのですが、字母は同じの「ろ」に似た「そ」があります。あとは「きそば」で有名な「楚」をくずしたやつ。
た
[多]
[多]
[堂]
多くは「多」をくずしたもの崩しの程度で二種類あります。あと、御堂の「堂」を崩したのもよくあります。
ち
現行のものが殆どです。
つ
[川]
[津]
[徒]
[都]
どうして「つ」の字母が「川」なのでしょうね。くずす途中のものも良く見られます。後は天津甘栗の「津」と生徒の「徒」をくずしたもの。少ないものだけど、「都」をくずしたものもあります。
て
[天]
[帝]
現行の字母「天」のくずす途中のものもあります。後は皇帝の「帝」かな。
と
[登]
[東]
「登」のくずしは良く見かけます。「東」をくずしたものも、そこそこ見かけます。
な
[奈]
[奈]
[那]
奈良の「奈」を字母としたものは現行のもの以外に以上のようなものも見る事が出来ます。また、「る」と間違えそうなものも。あと、那覇の「那」をくずしたもの。「れ」に似てそうだけれど左がごちゃごちゃしています。
に
[爾]
[爾]
[耳]
[丹]
現行のものよりも、村田蓮爾の「爾」の略字体を崩したものが多いです。かきやすいから…。他は「耳」をくずしたもの。「万」に似ているけれど、にょーんと縦に長いのが特徴です。そのほか丹後半島の「丹」も良く見ます。
ぬ
現行のものが多いです。
ね
[祢]
[年]
[子]
美祢の「祢」をくずした現行のものの途中のかたちと、「年」をくずしたものが多いです。丸っぽいものはだいたいこれです。漢字の「手」のくずしに似てますが、「手」のほうはもっとほっそりしています。あとは「子」。
の
[乃]
[能]
[農]
乃木大将の「乃」をくずした現行のもののくずし途中の、いわゆる「つえつきの「の」」と「能」をくずした「たすきがけの「の」」が二分します。後は「農」をくずしたもの。
は
[者]
[盤]
[八]
冒頭で紹介した「む」に似ている「きそば」の「は」はこの字。「者」を崩したものです。「○○は」と言うときに漢文でこの字が良く使われていたからです。あと、将棋盤の「盤」。松尾芭蕉が良く使いました。にょーんて縦に伸びる字です。それと、八を崩した片仮名と同じ「ハ」も良く使われます。
ひ
[飛]
[日]
現行のもの以外に飛竜の拳の「飛」を崩したものが見られます。後は「日」を崩したもの。ちっこいのが特徴です。
ふ
[布]
[婦]
現行のもの以外では、「布」を崩したもの、婦人会の「婦」を崩したものがあります。冒頭にあげた「やぶ」の「ぶ」に相当する字です。
へ
[遍]
[邊]
現行のもの以外には一遍上人の「遍」や渡邊さんの「邊」をくずしたものが見られます。
ほ
[保]
[本]
「保」を崩した現行のもの以外に微妙に異なるものがあります。また「本」を崩したものも良く見ます。
ま
[万]
[満]
[萬]
「万」を崩したものと「満」を崩したものが多いです。あと旧字体の「萬」を崩したものも。
み
[三]
[見]
現行のものは少なく、「三」を崩したカタカナと同じ「ミ」が良く使われます。あと「見」も。
む
[無]
[舞]
現行のもの以外では「無」と「舞」を崩したものが見られます。「無」をくずしたものは「農」を崩したものとよくにています。
め
[免]
免許の「免」を崩したものを見かける事があります。
も
[毛]
[毛]
現行の字母「毛」の崩し途中のものが分化しています。
や
[夜]
たまに「夜」を崩したものをみます。
ゆ
[由]
[遊]
現行の字母「由」の崩し途中のものと「遊」を崩したものをたまに見かけます。
よ
現行のものが多いです。
ら
[羅]
羅生門の「羅」を崩したものをたまに見かけるほかは現行のものが多いです。
り
[利]
[里]
[李]
同じ字母でも「わ」にそっくりな「り」がままあります。要注意です。また「里」を崩したものも定番ですね。あとは「李」をくずしたものかな。
る
[留]
[流]
[類]
[累]
同じ「留」の字母でもまた崩れ加減が甘いものがあります。また、「流」「類」「累」を崩したものも定番ですね。
れ
[禮]
[連]
現行の字母「禮」の崩れ途中のものと、「連」のくずしは良く見かけます。
ろ
[路]
現行のものが多いですが、道路の「路」を崩したものは良く見ます。
わ
[王]
」
「王」のくずしも良く見かけます。どうして「わ」の項に入るかというと、「わう」と発音していたからです。「者」の崩しと似ているので注意が必要です。
ゐ
[井]
現行のものが殆どですが、たまに「井」を見かけます。
ゑ
[衛]
現行のもの以外では「衛」のくずしがあります。
を
[越]
越中ふんどしの「越」が現行のものと人気を二分しています。
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